サロンスタッフ退職時の顧客引き継ぎ|指名客とカルテを守る手順
サロンスタッフ退職時の顧客引き継ぎ|指名客とカルテを守る手順
スタッフの退職で最も痛いのは、人手が減ることよりも「そのスタッフしか知らなかった顧客情報」が同時に失われることです。指名で通っていたお客様は担当がいなくなると来店理由を失い、施術の好みや申し送りが個人のメモに残っていれば、次の担当は一から聞き直すことになります。逆に、記録が店に残っていて引き継ぎの段取りが決まっていれば、退職は失客に直結しません。本記事では、退職の申し出から引き継ぎ完了までにやることを時系列で整理します。
引き継ぎのタイムライン(退職の申し出から退職後まで)
| 時期 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 申し出直後 | 引き継ぎ対象顧客の洗い出し(担当・来店周期・次回予約の有無) | 対象を漏らさず把握する |
| 退職1か月前 | カルテの記入漏れを本人に埋めてもらう(好み・申し送り・使用薬剤) | 記録を店の資産にする |
| 退職2〜3週間前 | 次の担当を決め、来店時に同席・紹介する | 顔と信頼の受け渡し |
| 退職2週間前 | 次回予約が入っている顧客へ担当変更の連絡 | 当日の驚きを防ぐ |
| 退職日 | システムのアカウント停止・権限削除・貸与端末の回収 | 情報流出の防止 |
| 退職後1か月 | 引き継いだ顧客の再来状況を確認し、未来店者へ案内 | 失客の早期発見 |
順番の要点は、記録の回収を先に、顧客への連絡を後にすることです。カルテが埋まる前に担当変更を伝えると、次の担当が何も知らない状態で対面することになります。
引き継ぎ前に埋めておきたいカルテ項目
退職者本人にしか分からない情報を、退職前に文字と写真で残します。顧客管理・電子カルテに集約しておけば、次の担当が予約画面からそのまま確認できます。
- 施術の好み(仕上がりの傾向、避けたい提案、力加減や温度の希望)
- 使用した薬剤・機器の設定と、前回の反応
- アレルギーや体調面で配慮している点(記録の考え方はサロンのアレルギー・パッチテスト記録)
- 会話の中で共有していた事情(出産・転居・仕事の繁忙期など、来店周期に影響するもの)
- 次回に予定していた提案と、その理由
写真が残っていると言葉で伝わりにくい仕上がりも共有できます(サロンの施術写真管理)。書く項目の型そのものはサロンカルテの書き方にまとめています。
顧客への伝え方(担当変更の連絡)
指名客への連絡は、退職理由を詳しく説明する場ではありません。伝えるべきは「次に誰が担当するか」と「引き継ぎができていること」の2点です。
○○様 いつもご利用ありがとうございます。担当の△△が○月末で退職することとなり、次回より□□が担当させていただきます。 これまでの施術内容とご希望は共有しておりますので、続けて同じ仕上がりでご案内いたします。 ご不明点やご希望があれば、このままご返信ください。
次回予約が既に入っているお客様には、来店前に必ず連絡します。当日に初めて担当変更を知ると、それ自体が失客の理由になります。
情報の持ち出しとアカウントの締め方
顧客情報は店の資産であり、個人が持ち出してよいものではありません。退職時には次の3つを必ず実施します。
- アカウントの停止と権限の削除:退職日に合わせてログインを止めます。権限の設計はサロンのスタッフ権限・サブアカウント管理で扱っています。
- 貸与端末・紙資料の回収:個人のスマートフォンで顧客とやりとりしていた場合は、連絡経路を店の公式アカウントへ切り替えます。
- 持ち出し禁止の確認:顧客リストの複製・撮影・転記をしない旨を、就業規則や誓約書で確認します。取り扱いの基本はサロンの顧客個人情報の取り扱いを参照してください。
なお、退職後の同業への就業や顧客への営業をどこまで制限できるかは、雇用契約や就業規則の定めと個別事情によって判断が分かれます。競業避止や顧客誘引の禁止を実際に及ぼせるかは事案ごとに評価されるため、条項の作成や運用は弁護士など専門家に確認してください。
退職後1か月の再来チェック
引き継ぎが成功したかどうかは、退職後の再来率で分かります。引き継ぎ対象の顧客に絞って、通常の来店周期を超えていないかを月1回確認します。周期を過ぎている方には、次の担当からの案内を送って様子を見ます。抽出の考え方はサロンの来店周期を分析して離脱前に自動でお知らせする方法にまとめています。
よくある質問
Q. 退職の引き継ぎで最初にやるべきことは何ですか?
引き継ぎ対象の顧客リストを作ることです。担当別に「直近の来店日・来店周期・次回予約の有無」を並べれば、連絡の優先順位が決まります。次回予約が入っている顧客が最優先で、周期的にもうすぐ来店する方が次に続きます。
Q. 指名客が「担当がいないなら行かない」と言った場合はどうすればよいですか?
無理に引き止めるより、これまでの記録が残っていることと、同じ仕上がりで対応できることを具体的に伝えます。前回の薬剤や仕上がりの希望を挙げて説明できると、店に情報が残っていることが伝わり、一度は試してもらえる確率が上がります。
Q. 退職者の個人アカウントでお客様とやりとりしていた場合は?
退職前に、店の公式アカウントへ連絡経路を移す案内を送ってもらいます。個人の連絡先に依存した関係は、退職と同時に店から切れてしまいます。日常的に公式アカウントでやりとりする運用にしておくことが、根本的な予防策です。
Q. カルテの記入を退職者が協力してくれない場合は?
退職時にまとめて書かせる前提だと、こうした事態が起きます。日々の施術後に記録を残す運用が定着していれば、退職時の作業は確認だけで済みます。予約と記録が一体のシステムで、施術直後に入力できる状態にしておくことが最大の対策です。
まとめ
退職時の顧客引き継ぎは、記録の回収 → 次の担当の決定と紹介 → 顧客への連絡 → アカウントの停止 → 退職後の再来チェックという順番で進めます。うまくいくかどうかは、退職を告げられた時点でカルテがどれだけ埋まっているかでほぼ決まります。日常の記録が店に残る仕組みこそが、退職に強いサロンの条件です。
カロネードは、予約・顧客管理・電子カルテ・受付会計・売上分析をひとつにまとめられるサロン向けの業務管理システムです。担当者に依存しない記録運用の設計は、お問い合わせからご相談ください。
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