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マーケティング

エステの広告ガイドライン|薬機法・景表法のNGワードと言い換え

2026/8/2
11分

エステの広告ガイドライン|薬機法・景表法のNGワードと言い換え

エステサロンの広告は、薬機法(医薬品医療機器等法)と景品表示法の2つの観点で確認が必要です。両者は規制する対象が異なります。薬機法が規制するのは医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などのについての広告で、サロンで扱う化粧品や機器の表示、および承認を受けていない物を医薬品・医療機器であるかのように標榜する表現が対象になります。一方、施術そのもの(サービス)の表示は景品表示法などの観点で確認します。「シミが消える」「痩せる」といった表現は、使った化粧品や機器について述べていれば薬機法の問題になり得ますし、施術の効果として述べていれば実態と合っているか(景表法)が問われます。いずれの場面でも、サイト・SNS・店内POPのすべてで注意が必要です。

本記事では、エステの広告で問題になりやすい考え方、表現の整え方、媒体別の確認ポイント、公開前のチェックリストをまとめます。景品表示法の観点はエステの景品表示法と広告、医療機関の場合は美容クリニックの医療広告ガイドラインを参照してください。個別の表現の可否は文脈によって判断が変わるため、最終的には所管の窓口や専門家に確認してください。本記事は考え方の整理を目的としたもので、特定の表現が適法であることを保証するものではありません。

2つの法律の役割の違い

まず、規制の目的が違うことを押さえます。

法律規制の対象典型的な問題
薬機法医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品というについての広告(第66条)と、承認・認証を受けていない医薬品・医療機器等についての広告(第68条)化粧品の効能の範囲を超える標榜、承認を受けていない物を医薬品的に紹介する表現
景品表示法商品・サービスの表示全般(施術そのものの表示を含む)実際より著しく優良と誤認させる表示、有利誤認、根拠のない体験談

エステの施術は医療行為ではなく、化粧品は「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、皮膚・毛髪を健やかに保つ」目的の範囲で作用が緩和なものとされています。化粧品についてこの範囲を超える効果をうたうと、承認を受けていない医薬品の広告と判断され得ます。施術そのものの表示については、まず実態と合っているか(景表法)を確認し、医療行為を想起させる表現になっていないかも併せて点検してください。

医薬品的とみなされやすい表現

次のような方向性の表現は、化粧品や機器について述べれば薬機法上の問題になり得るもの、施術について述べれば実態との不一致(景表法)や医療行為の想起が問われやすいものです。

  • 疾病の治療・予防を示す:「アトピーが治る」「ニキビを治療」「病気の予防に」
  • 身体の組織・機能の変化を示す:「脂肪を分解」「細胞を再生」「代謝機能を改善」
  • 医療行為を想起させる:「医療レベル」「注射と同等」「切らない施術で除去」
  • 断定的な変化の保証:「必ず痩せる」「シミが消える」「永久に生えない」
  • 医薬品的な用法用量:「1日2回、2週間の使用で」など

エステの広告では、痩身・美白・脱毛の3領域で特に問題が起きやすい傾向があります。「◯◯が消える/治る/なくなる」という言い切りは避けるのが基本線です。

表現を整える方向

禁止語を機械的に言い換えるだけでは不十分ですが、考え方の軸は次のとおりです。

避けたい方向整える方向
身体の機能や組織を変える表現施術で行う内容そのものの説明(何をするか)
効果の断定・保証一般的な特徴やお手入れの目的として述べる
医療行為を連想させる語提供しているサービスの実際の内容に即した語
効果を示す加工した写真撮影条件を統一し、加工しない。注記を添える
個人の体験談を効果の根拠にする感想であることを明示し、効果の保証として使わない

言い換えの考え方(語レベルの例)

語だけを置き換えても、文脈全体で効果を標榜していれば同じ問題が残ります。そのうえで、書き出しに迷ったときの方向性を例示します。下記の右列も「これなら必ず問題ない」という保証ではなく、事実の範囲にとどめる書き方の一例です。

受け取られやすい言い方事実の範囲にとどめた書き方の例
シミが消える〇〇(メニュー名)でお肌のお手入れを行います
脂肪を分解する〇〇分のハンドトリートメントで全身をほぐします
必ず痩せる/確実に効果が出る施術内容と回数の目安をご案内します(結果には個人差があります)
アトピー・ニキビが治るお肌の状態に合わせてメニューをご提案します
永久脱毛できる光を用いた〇〇のお手入れです(医療機関の脱毛とは異なります)
医療レベルの機器を使用使用機器の名称と、施術で行う内容を具体的に記載
業界No.1・最安値根拠となる調査の出典・時点・範囲を明記できる場合のみ記載

最後の行は薬機法ではなく景表法の論点です。No.1表示や「最安」といった表示は、根拠と調査の範囲を示せない場合は避けてください。

媒体別の確認ポイント

同じ文面でも、載る場所によって見落としが変わります。媒体ごとに確認する担当と観点を決めておくと事故が減ります。

媒体見落としやすい点
自社サイト・LP古いページに残った旧表現、料金と契約条件の食い違い
SNS(投稿・ストーリーズ)現場スタッフの投稿、施術直後の写真、お客様の感想の引用
店内POP・メニュー表掲示したまま更新されない表現、キャンペーンの終了後の残置
チラシ・DM印刷物のため修正できない。校了前の確認が最後の砦
ポータル・予約サイトサロン紹介文とクーポン条件、掲載期間と実際の提供内容
口コミへの返信効果を認める書き方になっていないか(口コミ返信の例文

とくにSNSは投稿頻度が高く、過去投稿の棚卸しが漏れがちです。運用の全体設計は美容サロンのSNSマーケティングを参照してください。

公開前チェックリスト

新しい広告・投稿を出す前に、次の項目を確認します。

  • 疾病の治療・予防を示す表現が入っていないか
  • 身体の組織・機能を変化させる表現になっていないか
  • 効果を断定・保証する言い方になっていないか
  • 医療行為を想起させる語を使っていないか
  • ビフォーアフター写真の撮影条件をそろえ、加工していないか
  • 写真・体験談について本人の同意を得ているか(範囲を明示)
  • 体験談を効果の根拠として使っていないか
  • 料金は総額と内訳(コース料金・入会金・化粧品代)が分かるか
  • 契約期間・回数・中途解約の条件が契約書面と一致しているか
  • 「初回限定」などの条件と適用範囲が明記されているか
  • No.1・最安などの表示に根拠(調査の出典・時点・範囲)があるか
  • 判断に迷う表現を専門家・窓口に確認したか

ビフォーアフター写真は、薬機法・景表法の双方で慎重な扱いが求められます。照明・角度・加工で差を作れば優良誤認になり得るため、撮影条件をそろえ、加工しない運用を徹底してください。施術記録としての写真管理は電子カルテで行い、広告に使う場合は本人の同意を必ず取得します(サロンの個人情報の取り扱い)。

契約・料金の表示もセットで確認する

広告表現の問題は、効果の記載だけではありません。エステの継続的なコース契約は特定商取引法の特定継続的役務提供に該当する場合があり、契約書面の交付や中途解約のルールが定められています。広告に記載する料金・期間・回数が、契約書面や実際の運用と食い違わないよう整合させてください。

  • 料金の総額と内訳(コース料金、入会金、化粧品代を分けて表示)
  • 契約期間と回数
  • 中途解約の条件(サロンのクーリングオフ対応
  • 「初回限定」などの条件と適用範囲

該当する契約の書面についてはエステの特定継続的役務提供に関する契約書面にまとめています。

社内で運用を固める

広告表現の事故は、多くが担当者ごとの判断のばらつきから起きます。SNSは投稿頻度が高く、現場のスタッフが個人の裁量で書いてしまうと管理が効きません。

  1. NG方向の一覧を作る:使わない表現の方向性を文書化して共有する
  2. チェック担当を決める:投稿前に1人が確認する運用にする
  3. テンプレートを用意する:メニュー説明・症例投稿の型を作る
  4. 過去の投稿も棚卸しする:古い投稿にNG表現が残っていることが多い
  5. 判断に迷ったら確認する:所管の窓口や専門家、業界団体に相談する

口コミへの対応はサロンの口コミ・クレーム対応を参考にしてください。

表現の制約は「何も言えなくなる」ことではありません。施術で実際に行っていること、店舗の強み、接客の質を具体的に伝えるほうが、誇張表現より信頼につながります。

よくある質問

エステの広告で使ってはいけない言葉の一覧はありますか?

「この語はNG、この語はOK」と一覧で機械的に線を引くことはできません。同じ語でも、前後の文脈が示す内容によって判断が変わるためです。本記事の「医薬品的とみなされやすい表現」で挙げた方向性(疾病の治療・予防、身体の組織や機能の変化、医療行為の想起、効果の断定)に当たらないかを確認し、個別の表現は所管の窓口や専門家に確認してください。

エステの広告で「痩身」という言葉は使えますか?

言葉そのものの可否ではなく、文脈と示す内容で判断されます。身体の組織や機能を変化させる効果(脂肪の分解、体質の改善など)を標榜すると、施術や化粧品の範囲を超えるとみなされ得ます。実際に行っている施術内容やお手入れの目的として説明する範囲にとどめ、効果の断定や保証を避けてください。個別の表現は所管の窓口や専門家に確認するのが確実です。

ビフォーアフター写真は掲載してもよいですか?

掲載自体が一律に禁止されているわけではありませんが、薬機法・景品表示法の両面で慎重な扱いが必要です。照明や角度、加工によって実際以上の変化に見せると優良誤認につながります。撮影条件をそろえる、加工しない、効果には個人差がある旨を明示する、といった運用が前提になります。加えて、被写体本人から利用範囲を明示した同意を取得してください。

チラシや店内POPも同じ規制の対象になりますか?

はい。媒体を問わず、商品・サービスについての表示は規制の対象になり得ます。とくにチラシは印刷後に修正できず、店内POPはキャンペーン終了後も貼られたままになりがちです。校了前の確認と、掲示物の棚卸しを運用に組み込んでください。

お客様の口コミや体験談を広告に使ってもよいですか?

感想であることが分かる形で紹介する場合と、効果の根拠として提示する場合では扱いが変わります。効果を保証する材料として使うと、薬機法・景表法の両面で問題になり得ます。掲載時は本人の同意を範囲を明示して取得し、効果には個人差がある旨を添えてください。判断に迷う場合は専門家に確認してください。

薬機法と景品表示法は何が違いますか?

規制する対象が違います。薬機法は医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品というについての広告を規制し(第66条)、承認・認証を受けていない医薬品・医療機器等についての広告も禁じています(第68条)。景品表示法は商品・サービスの表示全般を対象に、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示を規制します。したがってサロンでは、扱う化粧品や機器の表示は薬機法、施術そのものの表示は景表法という順で確認するのが整理しやすくなります。なお医療行為と誤解される表現は別の法令の観点も出てくるため、判断に迷う場合は所管の窓口や専門家に確認してください。

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