美容室の管理美容師の要件|開業に必要な資格と届出を整理
美容室の管理美容師の要件|開業に必要な資格と届出を整理
美容室を開業するとき、「管理美容師が必要と言われたが、誰がなれるのか分からない」という相談は少なくありません。美容師免許とは別の資格であり、設置が必要になる条件も店舗の体制によって変わるため、開業準備の早い段階で確認しておくべき項目です。
本記事では、管理美容師の位置づけ・必要になる条件・資格の取得方法・届出との関係を整理します。開設全体の流れはサロン開設時の保健所への届出と衛生管理、開業手続き全般はサロンの開業届の出し方をあわせて参照してください。制度の詳細や自店の該当可否は、必ず所轄の保健所に確認してください。
管理美容師とは
管理美容師は、美容師法に基づき、美容所の衛生管理を担当する立場として置かれる美容師です。施術そのものの資格ではなく、店舗の衛生的な運営を管理する役割を担います。
美容師免許を持っているだけではなれず、免許取得後に一定の実務経験があり、都道府県知事が指定する講習会の課程を修了した者が管理美容師になれます。実務経験の年数や講習の内容は制度で定められているため、受講を検討する段階で都道府県の美容業生活衛生同業組合や保健所に確認してください。
設置が必要になる条件
管理美容師の設置が求められるのは、常時2人以上の美容師が従事する美容所です。
| 店舗の体制 | 管理美容師 | 補足 |
|---|---|---|
| 開設者本人が1人で施術する(1人サロン) | 不要 | 美容師免許は当然必要 |
| 常時2人以上の美容師が従事する | 必要 | 従事者のうち1名が管理美容師である必要がある |
| スタッフを増やして2人以上になった | 必要 | 体制変更時に届出が必要 |
| 面貸し・シェアサロンで複数名が施術 | 要確認 | 従事者の扱いは形態により異なるため保健所に確認 |
ひとりで開業する場合は管理美容師なしで始められますが、スタッフを雇って2人体制になった時点で必要になります。「軌道に乗ったら人を増やす」計画があるなら、開業時から取得しておくと増員のタイミングで慌てずに済みます。1人運営の体制づくりはひとりサロンの予約システムも参考になります。
面貸し(席貸し)やシェアサロンの形態では、従事者の数え方が実態によって変わります。契約形態が業務委託でも、実質的に常時複数名が施術しているなら該当し得るため、開設前に保健所へ相談してください。面貸しの契約面は美容室の面貸し契約書の作り方で扱っています。
資格を取るまでの流れ
- 美容師免許を取得する(美容師養成施設の課程修了+国家試験合格)
- 実務経験を積む(美容所での美容の業務。必要年数は制度で定められている)
- 管理美容師講習会を受講する(都道府県知事の指定する講習。公衆衛生・衛生技術などの課程)
- 修了証の交付を受ける
- 美容所開設届(または変更届)に管理美容師として記載する
講習は複数日にわたる日程で開催され、開催回数も限られます。開業予定日から逆算して申し込む必要があり、直前に受講しようとしても間に合わないことがあります。開業スケジュールを引く段階で、講習の開催日程を確認してください。
開設届との関係
美容所を開設するときは、開設前に保健所へ美容所開設届を提出し、施設の確認(検査)を受ける必要があります。この届出書類に、従事する美容師と管理美容師の情報を記載します。
- 開設届には管理美容師の氏名と資格を証する書類の添付が求められる
- 施設の構造設備が基準を満たしているか、保健所の検査を受ける
- 検査確認が済むまで営業を開始できない
工事日程・検査日程・講習の受講時期がずれると、開店日が後ろにずれます。開業資金の計画にも影響するため、サロン開業資金の目安と内訳とあわせて余裕を持ったスケジュールを組んでください。
体制が変わったときの手続き
管理美容師が退職した、担当者を変更した、といった場合は変更の届出が必要です。届出の期限や様式は自治体によって異なるため、変更が決まった時点で保健所に確認してください。
特に注意したいのが、管理美容師が不在になる期間を作らないことです。唯一の有資格者が退職し、後任が講習を受けていない状態になると、2人以上の体制を維持できなくなります。スタッフの入れ替わりが見込まれる場合は、複数名に取得しておいてもらうのが安全です。スタッフの定着についてはサロンのスタッフ採用と定着で扱っています。
開業準備でまとめて確認すること
| 確認項目 | 相談先 | タイミング |
|---|---|---|
| 管理美容師の要否と要件 | 保健所 | 物件契約前 |
| 講習会の日程と申込方法 | 都道府県の組合・保健所 | 開業3〜6か月前 |
| 施設の構造設備基準 | 保健所 | 内装設計前 |
| 開設届と検査の日程 | 保健所 | 内装工事完了前 |
| 税務の開業手続き | 税務署 | 開業から1か月以内 |
制度は自治体の運用によって細部が異なります。「ネットで調べた情報」だけで判断せず、物件を決める前に一度保健所へ相談しておくと、内装のやり直しといった大きな損失を避けられます。
よくある質問
1人で開業する場合も管理美容師は必要ですか?
常時2人以上の美容師が従事する美容所で必要とされる資格のため、開設者自身が1人で施術する場合は設置義務がありません。ただし美容師免許は当然必要で、美容所開設届と保健所の検査も必要です。将来スタッフを雇う予定があるなら、2人体制になった時点で必要になるため、余裕のあるうちに取得しておくと増員時に困りません。
管理美容師の資格はどうすれば取得できますか?
美容師免許を取得したうえで一定の実務経験があり、都道府県知事が指定する講習会の課程を修了することで取得できます。講習は公衆衛生や衛生技術などの課程で構成され、開催日程は限られています。必要な実務経験の年数や申込方法は都道府県の美容業生活衛生同業組合・保健所で確認し、開業予定日から逆算して申し込んでください。
管理美容師が退職したらどうなりますか?
速やかに後任を立て、変更の届出を行う必要があります。常時2人以上の体制を続けるのであれば、管理美容師が不在の状態は認められません。後任が講習を受けていない場合、受講の日程によっては体制を維持できなくなるため、有資格者を複数名確保しておくのが安全です。手続きの期限と様式は自治体によって異なるため、保健所に確認してください。
関連記事
関連ページ
関連記事

美容室の面貸し契約書の作り方|業務委託との違いと注意点
美容室の面貸し契約書の作り方を解説。雇用・業務委託・面貸しの違い、契約書に入れるべき条項、偽装請負とみなされないための線引き、売上と顧客の扱いまでを実務目線でまとめます。

サロンの前受金管理と会計処理|回数券の売上計上を正しく
サロンの前受金管理と会計処理を解説。回数券やサブスクを販売した時点では売上にならない理由、消化・失効・中途解約時の扱い、残回数の管理方法までを、システムで運用する形にまとめます。

サロンの勤怠・打刻管理|シフトと連動して労働時間を集計
サロンの勤怠・打刻管理の進め方を解説。打刻方法の選び方、労働時間を客観的に記録する必要性、休憩や残業の集計、シフト実績との突合、給与計算へのつなぎ方までを実務目線で整理します。
