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業務効率化

サロン店舗の原状回復費用|退去・移転で損しないための基礎

2026/8/2
8分

サロン店舗の原状回復費用|退去・移転で損しないための基礎

店舗を退去するとき、予想外の請求で手元資金が一気に減る——これは移転や閉店を経験したサロンからよく聞く話です。原状回復は契約書の条項次第で負担が大きく変わり、しかも交渉の余地があるにもかかわらず、言われた金額をそのまま支払ってしまうケースが少なくありません。

本記事では、サロン店舗の原状回復について、費用の中身・契約書の確認点・抑えるための進め方を整理します。開業時の投資判断はサロン開業資金の目安と内訳、日々の固定費管理はサロンの固定費削減をあわせて参照してください。個別の契約解釈は弁護士や不動産の専門家に確認してください。

原状回復とは何を指すか

原状回復は、賃借した物件を契約時に定められた状態に戻して返すことです。「入居時とまったく同じ状態」ではなく、契約書の定めによります。

事業用物件(店舗)は、住居用と扱いが異なります。住居用では通常損耗・経年劣化は貸主負担とされるのが原則ですが、店舗の場合は借主が通常損耗分も含めて負担する特約が置かれることが多く、その特約が有効とされる場面もあります。つまり、契約書に何が書かれているかがすべてです。

サロンで費用がかさむ箇所

美容室・エステサロンは、一般的なオフィスより原状回復の負担が大きくなりがちです。

箇所内容費用がかさむ理由
給排水設備シャンプー台の撤去、配管の埋め戻し床下の配管工事が伴う
電気容量増設した電気設備の撤去分電盤・配線工事が必要
内装造作間仕切り、個室、鏡、収納の撤去造作が多いほど解体量が増える
床・壁・天井クロス、床材の張り替え薬剤によるシミが残りやすい
空調・換気増設したダクト、換気扇の撤去天井を開ける工事になる
看板・サインファサード、袖看板の撤去と補修外装の補修が伴う

シャンプー台の設置は、給排水と電気の両方を伴うため撤去費用も大きくなります。内装にこだわるほど退去費用が上がるという関係を、開業時の設計段階で意識しておくと後の負担が変わります。

契約書で確認すべき条項

退去が決まってから読むのでは遅く、契約時と更新時に必ず確認してください。

  1. 原状回復の範囲:スケルトン返し(躯体まで戻す)か、内装を残してよいか
  2. 通常損耗の扱い:借主負担とする特約があるか
  3. 工事業者の指定:貸主指定業者のみか、相見積もりが可能か
  4. 入居時の状態の記録:引き渡し時の写真・図面があるか
  5. 敷金・保証金からの充当:精算方法と返還時期
  6. 中途解約時の扱い:違約金と原状回復の関係

3番目の業者指定が費用に最も影響します。指定業者しか使えない契約では相場より高くなりやすく、交渉の余地も限られます。契約前に「相見積もりの可否」を確認できるかどうかで、退去時の金額が変わります。

4番目も重要です。入居時の状態を写真と図面で残していないと、「もともとあった傷」まで借主負担にされかねません。入居時に必ず記録を取ることが、数年後の自分を守ります。

居抜きで入った場合の注意

前の借主の内装を引き継いだ居抜き物件では、「誰が作った造作を誰が撤去するのか」が争点になります。

  • 造作譲渡契約の内容(前借主から引き継いだ範囲)
  • 貸主との賃貸借契約における原状回復の起点(前借主入居前の状態か、自分が入居した時点の状態か)
  • 前借主の残置物の扱い

契約書で起点が「スケルトン」と定められていれば、自分が作っていない造作の撤去費用まで負担することになります。居抜きは初期費用を抑えられる反面、退去時の負担が読みにくいという性質を理解して契約してください。

費用を抑える進め方

  1. 早めに動く:解約予告期間(3〜6か月前が一般的)の前から準備する
  2. 契約書を読み込む:範囲・業者指定・特約を確認し、不明点は書面で貸主に照会する
  3. 相見積もりを取る:業者指定がなければ複数社から取る。指定がある場合も内訳の明細を求める
  4. 見積の項目を精査する:不要な工事(残してよい部分の撤去など)が含まれていないか
  5. 次の借主を意識する:同業種が入るなら、造作を残す形で合意できることがある
  6. 交渉の記録を残す:口頭合意ではなく書面・メールでやり取りする

5番目は実務上のポイントです。貸主にとっても、次に同業が入るなら内装が残っていたほうが客付けしやすい場合があります。「そのまま残してよいか」を確認するだけで数十万円単位で変わることがあります。

移転・閉店時にあわせて整理すること

原状回復と同時に、次の実務も発生します。

  • 顧客への案内(移転先・営業終了の告知と、予約済み分の対応)
  • 予約システム・掲載媒体・Googleビジネスプロフィールの住所変更
  • 保健所への変更・廃止の届出(美容所など施設の届出がある業態)
  • 税務・社会保険の手続き
  • 顧客データの移行(顧客データのCSVエクスポート

移転で最も避けたいのは、既存客が離れることです。移転先が決まった段階から、来店時の口頭案内・予約時の通知・SNSでの告知を重ねてください。顧客への伝え方はサロンの値上げの告知方法の考え方が応用できます。

よくある質問

店舗の原状回復はどこまで戻す必要がありますか?

契約書の定めによります。「スケルトン返し」と定められていれば、内装をすべて撤去して躯体の状態まで戻す必要があります。一方、内装を残してよい契約や、次の借主が決まっていれば残置で合意できる場合もあります。店舗の賃貸借では通常損耗も借主負担とする特約が置かれることが多いため、契約時に範囲を確認しておくことが重要です。

貸主指定の業者しか使えない場合、費用は交渉できませんか?

工事業者を変えることはできなくても、見積内訳の開示を求めて不要な項目を精査することはできます。残してよい造作まで撤去費用に含まれていないか、数量や単価が実態と合っているかを確認してください。また、次の借主が同業であれば造作を残す形で合意できる可能性もあります。やり取りは口頭ではなく書面で残してください。

居抜きで入った物件の原状回復はどうなりますか?

賃貸借契約における原状回復の起点次第です。起点がスケルトンであれば、前借主が作った造作の撤去費用も負担することになります。造作譲渡契約の内容と、貸主との契約の定めの両方を確認してください。居抜きは初期費用を抑えられる反面、退去時の負担が読みにくいため、契約前に想定される原状回復費用を試算しておくことをおすすめします。

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