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デジタル化

サロンの電子帳簿保存法対応|電子取引データの保存要件と運用

2026/7/11
9分

サロンの電子帳簿保存法対応|電子取引データの保存要件と運用

サロンを経営していると、取引先からの請求書や領収書がPDFやメールで届く、ネット通販で仕入れた材料の明細を画面で受け取る、といった場面が増えています。こうして電子でやり取りした取引データには、電子帳簿保存法(電帳法)による保存ルールが関わってきます。本記事では、サロンが押さえておきたい電帳法の考え方を、電子取引データの保存要件(真実性・可視性)、レシートや請求書のスキャナ保存、検索要件の観点から整理します。

なお、電帳法の具体的な適用可否や自店に合った対応方法は、事業規模や取引の実態によって変わります。本記事は制度の全体像をつかむための一般的な解説にとどめます。個別の判断は必ず顧問税理士など専門家に確認してください。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データで保存するときのルールを定めた法律です。保存の対象は大きく次の3つの区分に分かれます。

区分対象となるもの電子保存の位置づけ
電子帳簿等保存会計ソフトで作成した帳簿・決算書類一定要件を満たせば電子保存が可能(任意)
スキャナ保存紙で受け取った請求書・領収書・レシートスキャン画像での保存が可能(任意)
電子取引メール・PDF・ECサイトで授受した取引データ電子データのままの保存が必須

このうちサロンがまず意識したいのは、いちばん右の電子取引です。ここだけは任意ではなく、電子でやり取りした取引情報を電子データのまま保存することが求められます。

電子取引データの保存は義務になっている

たとえばサロンで次のようなやり取りがあれば、それは電子取引にあたります。

  • 材料や店販商品の仕入れをネット通販で行い、注文明細や領収書を画面・メールで受け取った
  • 取引先から請求書をPDFのメール添付で受け取った
  • キャッシュレス決済やECの利用明細をデータでダウンロードした

これらは、受け取ったデータを紙に印刷して保管するだけでは要件を満たさず、電子データそのものを保存しておく必要があります。日々の仕入れや経費のなかに電子取引が混ざっているサロンは少なくないため、まずは自店にどんな電子取引があるかを洗い出すところから始めるとよいでしょう。

電子取引データの保存要件:真実性と可視性

電子取引データの保存では、大きく「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。それぞれの中身を整理します。

真実性の確保

真実性とは、保存したデータが後から改ざんされていないことを担保する考え方です。次のいずれかの方法で対応します。

  • タイムスタンプが付与されたデータを受け取る、または保存時にタイムスタンプを付与する
  • 訂正・削除の履歴が残る(あるいは訂正・削除ができない)システムで保存する
  • 訂正・削除に関する事務処理規程を定めて運用する

小規模なサロンでは、専用システムを使わずに事務処理規程を定めて運用する方法が現実的な選択肢になることが多いです。規程のひな形は国税庁のサイトでも公開されています。

可視性の確保(検索要件)

可視性とは、保存したデータを税務調査などの際にすぐ確認できる状態にしておくことです。ここで重要になるのが検索要件です。具体的には、次の3項目で検索できるようにしておくことが求められます。

  • 取引年月日
  • 取引金額
  • 取引先

あわせて、保存したデータを画面やプリンタですぐに確認・出力できるよう、パソコンやディスプレイ、操作マニュアルを備えておくことも必要です。検索要件については、一定の売上規模以下であることなどの条件を満たす場合に緩和される仕組みもありますが、適用可否は個別に確認が必要です。

検索要件を満たす簡易な方法としては、ファイル名を「取引年月日_取引先_金額」の形にそろえて保存する、表計算ソフトで索引を作る、といった運用も認められています。取引量が増えてくると手作業では限界が来るため、データを一元管理できる仕組みの導入を検討したくなります。サロン全体の書類のデジタル化については美容サロンのペーパーレス化ガイドもあわせて参考にしてください。

スキャナ保存でレシート・請求書を電子化する

紙で受け取った請求書やレシートは、スキャナ保存の要件を満たせば電子化して保存できます(紙原本の保存に代える運用です)。スキャナ保存では、一定期間内の入力、解像度や階調に関する要件、タイムスタンプや訂正削除の履歴、そして電子取引と同様の検索要件などが求められます。

サロンの現場では、材料の仕入れレシートや外部委託の領収書など、紙の証憑が日々発生します。これらをスマートフォンやスキャナで取り込み、電子で一元管理できれば、紙のファイリングや保管スペースの負担を減らせます。ただしスキャナ保存は任意の制度であり、要件も細かいため、導入前に対応範囲を税理士と相談して決めるのが安全です。

サロンの受付会計データと電帳法

電帳法の主な対象は仕入れや経費まわりの証憑ですが、サロンの日々の売上を記録する受付会計のデータも、正確に残しておくことで経理や申告の土台になります。カロネードの受付・会計機能は、会計明細や支払い方法の内訳をデータとして記録・集計でき、手書き伝票に頼らない売上管理を実現します。

受付会計で蓄積した売上データは、確定申告に使う財務会計ソフトへの入力元にもなります。会計まわりの一元化の考え方はエステサロンの会計システムで回数券・前受金の扱いとあわせて解説しているので、参考にしてください。受付会計(精算)と財務会計は役割が異なり、電帳法への対応も含めて、両者を役割分担で併用するのが基本です。

よくある質問

Q. 電子帳簿保存法で、サロンが必ず対応しないといけないことは何ですか?

3つの区分のうち、メールやPDF、ECサイトで授受した取引データを電子のまま保存する「電子取引」への対応は必須です。帳簿の電子保存やレシートのスキャナ保存は任意ですが、電子取引だけは紙に印刷して保管するだけでは要件を満たしません。ただし具体的な対応範囲は事業の実態で変わるため、顧問税理士に確認してください。

Q. 電子取引データを紙に印刷して保存するだけではだめですか?

電子でやり取りした取引データは、原則として電子データそのものを、真実性と可視性の要件を満たす形で保存する必要があります。紙への印刷はあくまで確認用の補助であり、印刷物の保管だけでは電子取引の保存要件を満たしたことにはなりません。

Q. 検索要件はどうやって満たせばよいですか?

取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態にしておくのが基本です。専用システムを使わなくても、ファイル名をこの3項目でそろえて保存する、表計算ソフトで索引一覧を作るといった運用でも対応できます。取引量が多い場合は、データを一元管理できる仕組みの導入が現実的です。

Q. 電帳法に対応した会計システムを入れれば税理士は不要になりますか?

いいえ。システムは保存要件を満たす運用を助けるものであり、個別の税務判断や申告そのものを代替するものではありません。電帳法の適用可否や自店に合った運用方法の最終判断は、必ず顧問税理士など専門家に相談してください。

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