サロンのコホート分析|来店月ごとの定着率を追って改善する
サロンのコホート分析|来店月ごとの定着率を追って改善する
「先月の新規は30人だった」——この数字だけでは、施策が効いたのかは分かりません。集めた30人のうち何人が2回目に来て、半年後も通っているかまで見て、初めて集客の質が評価できます。コホート分析は、初回来店月ごとに顧客をグループ化し、その後の定着を時系列で追う手法です。
本記事では、サロンで使えるコホート分析の作り方と読み方を解説します。リピート率の基礎はサロンのリピート率の平均を先に押さえておくと理解が早まります。
コホート分析とは
コホート(cohort)とは「同じ時期に同じ経験をした集団」のことです。サロンでは初回来店月でグループを作り、そのグループが1か月後、2か月後……にどれだけ残っているかを追跡します。
全体のリピート率と何が違うのか。全体の数値は、既存の常連客が下支えするため悪化に気づきにくい指標です。一方コホート別に見ると、「4月に来た新規は3か月後に40%残っているが、7月に来た新規は20%しか残っていない」といった時期ごとの質の差が見えます。広告の出稿先を変えた、クーポンの内容を変えた、担当者が変わった——その影響が数字に現れます。
コホート表の作り方
必要なデータは「顧客ごとの初回来店日」と「その後の来店日」だけです。手順は次のとおりです。
- 顧客を初回来店月でグループ分けする(例:2026年4月組、5月組……)
- グループごとに人数を数える
- 各グループについて、初回から1か月後・2か月後……に来店した人数を数える
- 人数を初回人数で割って残存率にする
出来上がるのは次のような表です。
| 初回来店月 | 新規数 | 1か月後 | 2か月後 | 3か月後 | 6か月後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 30人 | 55% | 45% | 40% | 33% |
| 5月 | 28人 | 50% | 42% | 38% | 30% |
| 6月 | 35人 | 40% | 30% | 25% | — |
表を縦に読むと「同じ経過月での比較(グループ間の質の差)」、横に読むと「時間とともにどう減っていくか(離脱のタイミング)」が分かります。上の例では6月組の1か月後が明らかに低く、6月に何かが変わったことを示しています。
何を読み取るか
コホート表からは、感覚では気づけない事実が出てきます。
- 落ちる時期が特定できる:多くのサロンでは初回から2回目の離脱が最も大きい。ここが最優先の改善ポイント(新規客をリピーターにする仕組み)
- 集客施策の質が比較できる:大型クーポンを出した月のコホートだけ定着率が低ければ、割引が価格目当ての層を集めている可能性がある
- 改善の効果が確認できる:次回予約の声かけを始めた月以降のコホートで1か月後の残存率が上がれば、施策が効いている証拠
- 季節要因が見える:繁忙期に来た新規は定着しにくい、といった傾向
重要なのは、施策を打った月を境に前後のコホートを比べる使い方です。全体の平均値では埋もれてしまう変化が、コホート別なら明確に出ます。
集計の粒度と注意点
実務で使うためのコツをいくつか挙げます。
- 月次で十分:週次にすると人数が少なすぎて振れが大きくなります
- 経過月は来店周期に合わせる:2か月周期の業態で「1か月後の残存率」を見ても意味が薄いため、周期の倍数で区切ります
- 直近のコホートは未確定:先月組の3か月後はまだ分かりません。表の右下は空欄になるのが正常です
- 人数が少なすぎる月は参考値:新規10人未満のコホートは1〜2人の増減で率が大きく動きます
- 経路別に分ける:掲載媒体経由と紹介経由を混ぜると平均化されて差が消えます
来店周期そのものの捉え方はサロンの来店周期分析、顧客のグループ分けはサロンのRFM分析と組み合わせると、施策の対象を絞り込みやすくなります。
集計を自動化する
コホート表を手作業で作るのは現実的ではありません。顧客ごとの初回来店日と来店履歴が電子カルテ・顧客管理に残り、売上分析機能で期間別の来店実績が集計できる状態であれば、必要なデータはすべて揃っています。
まずは直近12か月分のコホート表を1枚作ってみてください。「2回目の壁」がどれだけ大きいか、月によってどれだけ差があるかが一目で分かり、次に手を入れるべき場所がはっきりします。リピート率を上げる具体策は美容室のリピート率を上げる方法にまとめています。
よくある質問
コホート分析と普通のリピート率の違いは何ですか?
リピート率は全顧客をまとめた1つの数値で、既存の常連客が含まれるため変化が鈍く出ます。コホート分析は初回来店月ごとにグループを分けて追跡するため、「いつ来た新規が、どのくらい残っているか」が時期ごとに比較できます。施策を打った前後のコホートを比べれば効果を検証でき、全体平均では見えない質の変化に気づけます。
何か月分のデータがあれば分析できますか?
最低でも6か月、できれば12か月分あると傾向が読めます。ただし新規数が月に10人未満の場合は、1〜2人の増減で率が大きく振れるため、3か月をまとめて1コホートにするなど粒度を粗くしてください。データが足りない段階でも、「初回から2回目への移行率」だけは今すぐ計算でき、最も効果の大きい改善点が見つかります。
コホート分析で最初に手を入れるべき箇所はどこですか?
ほとんどのサロンで最も離脱が大きいのは、初回から2回目の間です。ここを1割改善するだけで、以降のすべての経過月の残存率が底上げされます。具体的には、施術後の次回予約の提案、来店周期に合わせたフォロー、初回体験で期待を超える接客の3点が基本です。改善後のコホートで1か月後の残存率が上がるかを確認してください。
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